川口春奈 映画「聖地X」!
川口春奈の映画「聖地X」です。
韓国・仁川(インチョン)。
巨木と古井戸が近くにあるアメリカ料理の飲食店で店主が食事中に突然倒れ、謎の死を遂げる事件が発生しました。
それから時が流れた20××年。
小説家志望の山田輝夫は交通事故で他界した両親の遺産である韓国のプール付きの別荘で悠々自適の生活を送っていました。
輝夫は地元の女子大生イン・スヨンを家政婦として雇っていました。
そんなある日、日本で結婚生活を送っていた輝夫の妹・東要が韓国にやってきました。
輝夫同様に両親の遺産で暮らしてきた要でしたが、夫の滋が勝手に風俗通いで500万円も使い込んでしまったため、愛想を尽かして兄のもとに逃げ込んできたのです。
輝夫は別荘の余っている部屋を要に与えて滞在させることにしました。
それから1ヶ月が経ち、要もすっかり韓国での暮らしに慣れました。
仁川の繁華街に行くことにした輝夫と要は2時間後に同じ場所で落ち合おうと約束して別行動を取りましたが、要は人混みの中に日本にいるはずの滋らしき人物の姿を見つけ、後を追いました。
滋らしき人物は巨木と古井戸が近くにある日本食の飲食店の中へと入っていきました。
要も店の中に入りましたが、出てきた滋は要のこと以外の記憶があやふやでよく覚えていませんでした。
怒った要は滋を置き去りにして去っていきました。
この飲食店は日本から渡ってきたオーナーの江口が調理師の島忠とその妻・京子、現地で雇ったパートのキムと共に来月のオープンを目指して準備を進めてはいましたが、なぜか小さなトラブルが相次いでいることから無事オープンできるかどうか微妙な情勢になっていました。
別荘に戻った要は部屋に閉じこもりました。
何があったのか全くわからない輝夫が戸惑っていたところ、別荘に滋が押しかけてきました。
輝夫は滋を追い返そうとして取っ組み合いの喧嘩になりましたが、冷静になって滋の話を聞くことにしました。
滋は要以外の記憶が全くなく、携帯電話もパスポートも持ち合わせていませんでした。
夜も更けてきたため、輝夫は仕方なく滋を物置部屋で寝かせることにしました。
未だに滋への想いが残って
いる要は電話をかけてみることにしましたが、電話に出たのは携帯を持っていないはずの滋でした。要は怒ってそのまま電話を切りました。
要の電話に出た滋はなんと東京にいました。
東京でいつもと変わらず出勤している滋、輝夫の別荘の物置部屋で寝ているはずの滋、果たしてどちらが本物の滋なのか。
東京の滋は要から頻繁に電話がかかってくることに辟易し、女性上司の星野にもしまた要から電話があったら代わりに出てほしいと頼みました。
星野は滋(東京)の代わりに電話に出、輝夫と会話しました。
輝夫は物置部屋にいるはずの滋が東京にいることを確認して非常に驚きました。
そこに物置部屋の滋(韓国)も起きてきたのでますます混乱は深まりました。
その頃、江口は店を開く予定の物件が怪奇現象に見舞われていることに悩み、物件の過去について調べていました。
すると30年前、この物件で飲食店を営んでいたアメリカ人夫婦が謎の怪死を遂げていたことが発覚しました。
夫婦は餓死したものと判断されていましたが、実際には店の中には大量の食糧が残っていました。
その後も様々な料理店がこの物件に入りましたが、その度に撤退したり店主が失踪したりと不可解な事件が起きていることも明らかになりました。
輝夫と要は江口のもとに向かい、滋の件は“ドッペルゲンガー”ではないかと仮説を話しました。
江口や忠もこの店で起きている不可解な現象について語り出しました。
茶碗蒸しを作ったはずが中身がいつの間にかプリンに替わっていること、座布団を頼んだはずが届いたのは健康器具だったこと、物がいつの間にかふたつに増えていたことなどが明らかになります。
忠は京子と喧嘩をした時の話をしました。
家を出て行った京子はこの店におり、忠は京子と仲直りしたのですがどうも彼女の様子がおかしいというのです。
江口や忠は輝夫の話などから、忠が店で見つけた京子は本物ではなくドッペルゲンガーなのではないのかと疑いを持ちました。
その時、店の外に京子が現れました。
ドッペルゲンガーは「同じ分身と会うと死ぬ」との言い伝えがあることから、忠はすぐそばにいるもうひとりの京子に会わせないよう図りましたが、ふたりの京子は顔を合わせてしまい、古井戸の横にある巨木の前で合体して倒れ込んでしまいました。
京子はただちに病院に運ばれ、この店は呪われていると感じたキムはムーダン(祈祷師)を呼んでお祓いしてもらうことにしました。
しかし、依頼を受けたムーダンはこの店をお祓いすることはできないと答え、呪いの正体は「お前たちが神と信じれば神、悪魔と思えば悪魔。お前ら次第だ」と答えました。
店に戻った輝夫たちはキムに飲み物を出してもらいました。
冷蔵庫はブレーカーを落としていたため中の飲み物は常温のままでしたが、なぜか飲んでみると冷えていました。
やがて京子は退院し、忠と共に戻ってきました。
要の携帯に滋(東京)から電話があり、明日韓国に飛ぶと告げてきました。
翌日、輝夫と要は滋(韓国)を物置部屋に閉じ込めておきました。
やがて輝夫たちのもとに星野が訪れ、滋(東京)は近くのカフェで待っていると告げました。
要は星野に滋(東京)との関係を問い質すと、星野は滋とは恋愛関係にはないと否定しました。
滋(韓国)は星野に関する記憶は全くなく、要のことしか覚えていませんでした。
輝夫と要は滋(韓国)を星野に託し、待ち合わせ場所のカフェで滋(東京)と対面しました。
滋(東京)は要のことを忘れていました。
輝夫は江口の店に向かい、自分が小説家であることを明かすとフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を包んだ風呂敷を自分の著書として渡しました。
その後、星野が店を訪れ、輝夫は自分と星野以外全員を店の外に出させると風呂敷を開けてみるよう促しました。
風呂敷の中身はいつの間にか輝夫の著書「私はゾンビと海を歩いた」に替わっていました。
そのことから輝夫は、物がすり替わる現象は思い込みから発生するものだと結論づけました。
京子や滋のドッペルゲンガーが生まれたのも、「そこにいる」という思い込みから生じたものであり、ドッペルゲンガーが生まれると本人の一部の記憶が欠損することも明らかになりました。
輝夫はドッペルゲンガーである滋(韓国)に要との離婚届を書くよう迫りました。
滋(韓国)は拒否して輝夫と揉み合いになりましたが、鏡には滋(韓国)の姿は写っておらず、滋(韓国)の胸には大きな空洞がありました。
輝夫はどうするべきか対応を考えました。
輝夫は江口の店に関係者全員を集め、悩んだ末に導き出した解決策を打ち出しました。
輝夫は本体とドッペルゲンガーに分裂し、その後に元のひとりの人間に戻った京子が今なお記憶の混濁が続いていることを取り上げ、グラスを人間の本体、中身の水を記憶になぞらえて説明を始めました。
ひとりの人間からドッペルゲンガーが生まれた時、本体と記憶はふたつに分けられます。
分けられたふたつの人間はそれぞれ別々の記憶が蓄積され、それが再びひとつに戻ると記憶が溢れて混乱するのだと輝夫は語りました。
京子は分裂してから融合してから日が浅く、混乱も比較的最小限に収まったのですが、滋は分裂してから日にちが経っており、輝夫はそれぞれ別々の記憶が蓄積された状態で融合することは非常に危険な状態になると考えました。
そこで輝夫が考えた解決方法とは、本体である東京の滋、韓国の滋の他にもう1体のドッペルゲンガーを生み出し、分裂から今日までの記憶を取り除いた後で東京の滋と韓国の滋を融合させることでした。
輝夫はスヨンに店の部屋の中に滋が閉じ籠ってしまっているので声をかけるよう頼み、スヨンが言われた通りにすると、店の中から3人目の滋が姿を現しました。
輝夫たちは3人目の滋を縛り上げ、東京の滋と物置部屋の中の韓国の滋を融合させました。
融合した滋は自分が何だか生まれ変わったかのように満たされていると語りました。
要は星野に滋を東京に連れて帰るよう頼み、3人目の滋の対応に苦慮する輝夫に自分自身で何とかするしかないと告げました。
滋のドッペルゲンガーが生まれたのはまだ滋への想いが残っているからだと確信した要は、今度こそ滋への想いを断ち切ることで3人目も消えてくれるだろうと考えていました。そして要は輝夫がいろいろと手助けしてくれたことを感謝しました。
それからしばらくして、江口たちはあの物件を引き払い、別の土地で仕切り直しをすることにしました。京子の記憶の混乱もだいぶ落ち着きを取り戻していました。輝夫は江口たちを別荘でのバーベキューに招き、要は滋との離婚届を書くために一旦日本に戻ることを伝えました。
3人目の滋はいつの間にか姿を消し、輝夫はこれまでの体験を小説に書くことにしました。タイトルは「聖地X」です。
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