長澤まさみ 映画「スオミの話をしよう」!

長澤まさみの映画「スオミの話をしよう」です。

著名な詩人、寒川しずおの妻であるスオミが行方不明になります。
スオミが最後に目撃されたのは昨日の朝、寒川と前妻の子供を車で送り迎えをしていた姿でした。

頑なに警察沙汰にしたくない守銭奴の寒川に対し、寒川の世話係の乙骨直虎に呼び出された神経質な警察官の草野圭吾はきちんと捜査すべきだと訴えます。
寒川と草野の関係性は、寒川はスオミの現在の夫、草野はスオミの前の夫でした。

草野の部下である小磯杜夫は別れた妻の現在の夫と交流を持つ草野に驚きを隠せません。
小磯の驚きはそれだけではありませんでした。
何と、次から次へとスオミの夫だった男性が現われます。
スオミの中学時代の体育教師であり、現在は寒川邸の庭師を務める魚山大吉。
マルチ商法で検挙された経験を持つ怪しげなYouTuberの十勝左衛門。
捜査二課の係長の宇賀神守。
全員、性格も生活スタイルも異なる上、彼らが語るスオミの姿はあまりにもかけ離れていました。

最初の夫である魚山曰くスオミはツンデレな性格で、得意なことは相手に合わせて性格を変えることだといいます。
スオミは料理は出来ず、これまで寒川がスオミの料理だと思っていたものはすべて魚山が作っていたものでした。

2番目の夫の十勝もスオミは頭が良く、相手に合わせて性格を変えるため、人によってスオミの印象は違うものになると語っています。
スオミは独身の期間がほとんどなく、スオミは十勝に決断を任せてついてきてくれる存在だったといいます。

急にスオミに対する印象が変わるのは、3番目の夫の宇賀神でした。
宇賀神はスオミを上海出身の中国人で、中国語しか話せない女性だと思っていました。
これは十勝のアドバイスによるもので、警察の厄介になりそうなときは外国語を話して日本語の通じない人間のふりをした方が良いという作戦でした。

4番目の夫である草野はおっちょこちょいで運転が下手、事務仕事など段取りをつけることが苦手で、自己肯定感の低い女性としてスオミを覚えていました。
そのため、草野は離婚後も寒川との再婚などの手続きを手伝っていました。

5番目の夫である寒川曰く、スオミは車の運転が上手で息子のお弁当を作ってくれていた女性でした。
スオミは寒川の息子の学校で役員も務めてくれるなど、良妻賢母だったとのことです。
そのあまりにもかけ離れた人物像にスオミと一度も会ったことのない小磯は混乱します。

スオミはそれぞれ自分の妻を支配しようとする夫たちに対して性格を変えることで対処してきました。
性格を変えることはスオミにとって処世術であり、自己を消すことで常に理想の女性を演じ続けていいました。

誘拐犯からの電話がかかってきたことでスオミが誘拐されたことが明らかになると、夫たちは誰がスオミにとっての一番かを競い合います。
犯人はスオミの身柄と引き換えに3億円を要求しますが、詩人が実は金持ちだったというイメージが広まることを恐れる寒川は身代金を出し惜しみします。

寒川がボストンバッグに詰めるはずだった3億円を出し惜しみ、空のアタッシュケースで誤魔化したことで誘拐犯との取引は失敗に終わります。
しかし、犯人が提案してきた身代金の渡し方が、「1億5千万円ずつボストンバッグに詰めてセスナ機で相模原公園のフラッシュライトめがけて落とす」というセスナ機を持っている十勝がその場にいなければ不可能なものだったことで、小磯はこの状況をつくるには内通者が必要だと推理します。
小磯は金を出し渋っていた寒川を疑っていましたが、草野があぶり出した真の内通者は乙骨でした。
しかし、乙骨一人ではこれほどまでに大規模な誘拐は実行できません。
すべての事件には黒幕がおり、それはスオミでした。

スオミの狂言誘拐は乙骨と、スオミの中学生からの幼馴染である島袋薊(あざみ)が関わっていました。
特に薊はすべての夫と何かしらの形で出会っており、魚山にとっては生徒、十勝にとっては事務員、宇賀神にとってはスオミの従姉妹、草野にとってはリフォーム業者、寒川にとってはママ友と姿を変えて現れていました。
そして、今度はスオミの顧問弁護士として現われます。

ラストでスオミは髪型を変えることでこれまで演じてきた性格を演じ分け、他人に合わせて創り上げたキャラクターの言葉にのせることで本心を打ち明ける。
スオミは母親が三度離婚しており、離婚して父親が変わるたびに性格を変えて理想の娘を演じてきました。
それは大人になっても変わらず、会う相手ごとに理想の人物像を演じます。
けれど、そのような生活は長続きせず、性格を変える処世術と本当の自分がわからないことによる疲労が原因で結婚と離婚を繰り返してきました。

スオミは狂言誘拐で得た3億円で、フィンランドのヘルシンキに高飛びして薊と共に余生を過ごそうとしていました。
そもそも「スオミ」はフィンランド語で「フィンランド」を意味する言葉で、外交官であったスオミの父親が最も愛した街がヘルシンキでした。