𠮷岡里帆 映画『九龍ジェネリックロマンス』!

吉岡里帆の映画『九龍ジェネリックロマンス』です。

八月、人間の記憶を保管する装置「ジェネリック地球(テラ)」が上空に浮かぶ九龍で生きる鯨井令子は、同じ不動産屋の先輩社員である工藤発に恋をしていました。
ガサツでデリカシーのない工藤はいつも同じように遅刻ギリギリに出社し、昼には同じ店で水餃子を食べ、九龍を懐かしみを感じながら日々を暮らしています。

ある日、鯨井が眼鏡をかけていないことに動揺を見せた工藤は、終業後に鯨井を誘い九龍の街を散策します。
喫茶店「金魚茶館」を訪れた鯨井は、工藤の知り合いである店員グエンに工藤の過去の婚約者と勘違いされてしまい、鯨井は工藤に彼女がいたことに傷つきながらも別れ際に金魚をプレゼントされ、その日は解散となりました。

所有する物件の補修を行っていた日、昼寝していた工藤は寝ぼけて鯨井にキスをしてしまい、「間違えた」と言い残すとジャケットを残し、その場を去っていきます。
工藤の残したジャケットには1枚の写真が残されており、そこには鯨井と全く同じ姿形した女性が工藤と仲良さそうに映っており、グエンの言った「婚約者」が彼女であることを鯨井は確信するのでした。

友人である楊明は、過去の記憶を持っていない鯨井は、工藤と付き合っていたことも忘れたのではと言いますが、鯨井は直感的に写真の女性は自分ではないと理解しており、楊明は写真の女性を「鯨井B」と呼ぶことにします。

その頃、「金魚茶館」から忽然と姿を消したグエンは、異なる姿で九龍の街に舞い戻っていました。
グエンは九龍の外へと出ると、「ジェネリック地球」を作りだした「蛇沼グループ」の代表取締役である蛇沼みゆきと遭遇。
蛇沼はこの九龍が3年前に取り壊された「第二九龍寨城(第二九龍)」が「ジェネリック地球」の試験運用中に顕現したものであると語り、この九龍に「死んだ人との再会」を可能にする秘密が眠っていると話します。

九龍には取り壊される直前の「第二九龍」の人間がコピーされ、あの頃と同じような日常を生きており、コピーされた人間のオリジナルが九龍に足を踏み入れるとコピーが消滅することや、コピーが九龍の外に出ると消滅すると言ったルールが存在し、蛇沼は悲願である「母との再会」を果たすため、研究を先に進めようと必死でした。
九龍内にクリニックを設立し「無料診断」と銘打つことで、多くの人間を診察した蛇沼は、過去の日常を模写したこの九龍内で、オリジナルとなる人間が「第二九龍」の取り壊し前に死亡している鯨井に目をつけます。

一方、鯨井はオリジナルのグエンや蛇沼との接触によって「鯨井B」が既に死亡していることや、自分自身が「鯨井B」のコピーでありながら、「鯨井B」の趣味嗜好も性格も全く異なる人間であることを理解していきます。
工藤が自分に向ける目線や想いは「鯨井B」に向けているものであり、鯨井は「絶対の自分」になることや「鯨井B」でなく、工藤には自分自身を見てもらいたいと言う気持ちを強くするのでした。
蛇沼の仲間によって鯨井の友人ある少女・小黒が九龍の外に連れていかれ、消滅する現場を目撃した鯨井は、九龍が八月を繰り返していることにも気が付くことになります。

工藤はコピーではないオリジナルの人間であるだけでなく、「鯨井B」の死による大きなショックによって、「ジェネリック地球」に影響を及ぼし、コピーの「第二九龍」を創り出した張本人でした。
かつての友人である工藤を九龍から連れ出すべく九龍にやってきたグエンは、今の鯨井令子は「鯨井B」とは異なる存在であることや、前を見るべきだと語り工藤を説得しますが、九龍にも「鯨井B」にも、今の鯨井にも複雑な想いを抱く工藤の説得は叶いませんでした。

工藤の絶望に呼応するかのように、九龍の天候は荒れ始め、やがて「ジェネリック地球」にも活動限界が迫り始めます。
「鯨井B」の命日を目前とした日、鯨井と共に過ごした工藤は鯨井と「鯨井B」との違いを徐々に受け入れ始め、2人は夜を共にすることになります。
しかし翌日以降、「ジェネリック地球」の異変によって九龍の日常は崩壊を始め、鯨井は工藤が「鯨井B」の幻覚に連れられてしまう様子を目撃。
工藤を追う鯨井は、「鯨井B」と工藤の過去を目にすることになります。

「鯨井B」は同じ不動産屋で働く先輩社員であり、新人の工藤は水餃子を一緒に食べたり、「第二九龍」の日常を懐かしみを感じる方法を「鯨井B」から学び、やがて2人は交際を始めます。
夏が終わることにため息をつく「鯨井B」にプロポーズした工藤は、数日後に彼女の部屋で自殺した彼女の姿を目にすることになるのでした。

工藤は「鯨井B」の死を自身のせいだと攻め続けており、彼女の愛した「第二九龍」を守りたいと言う強い気持ちからこの九龍は生み出されていたのです。
鯨井は自分が水餃子だけでなく「レモンチキン」のような新しいものが好きなことや、生き物を飼わなかった「鯨井B」とは違い、工藤から貰った金魚に「サクセス」と名付け飼っていることなど、「鯨井B」ではなく「鯨井令子」として工藤を愛していることを伝えました。

鯨井の言葉によって救われた工藤は崩壊を始めた「ジェネリック地球」を目撃し、九龍の外へと鯨井を連れ出そうとします。
「母との再会」を果たすため、鯨井の研究を続けたい蛇沼は「コピーは九龍の外に出ることは出来ない」と脅し、2人を止めようとしますが、工藤は「鯨井と共に未来を生きたくなった」と言うと、2人で九龍の外へと飛び出しました。

消滅する九龍の外へと出た工藤は、鯨井もその場から消えていることに気づくのでした。
月日が流れ、外の世界で不動産屋として日々を過ごす工藤は、オリジナルの小黒が働いている中華の店を発見します。

店に入り「レモンチキン」を注文した工藤は、店に入ってきた鯨井と相席になりました。
どこから話すべきか悩んでいる鯨井に対し、いつものようにデリカシーの無い言葉を投げかける工藤。
笑い合いながら話す2人、すっかり真冬の店の外には雪が降り始めていました。