有村架純 映画『ちひろさん』!

有村架純の映画『ちひろさん』です。

弁当屋「のこのこ」で働くちひろは、元風俗嬢であるという過去を隠さず、自然体な魅力で多くの客に人気でした。自由な彼女にあこがれる女子高生・オカジは、ちひろを見かけてはその姿を勝手に写真に収めています。

ある日ちひろはホームレスの男性と出会い、弁当をあげたり、自分の家で風呂に入れたりしました。彼はお返しに、ちひろをある廃屋に案内してくれます。そこはマンガの棚やソファがある快適な空間でした。

その後も2人は交流をつづけていきますが、ある日彼は姿を消してしまいます。ちひろは廃屋で彼を「師匠」と呼ぶ女子高生・べっちんと知り合いました。

そんなある夜、ちひろのもとに風俗嬢時代に知り合ったバジルが訪ねてきます。彼女は自分の店の開店資金を持ち逃げされたことや、ちひろを探す男性が店に現れたことを話します。

翌日、ちひろは公園で小学生のマコトに絡まれます。ちひろに掴まれた彼は勢い余って彼女の腕にコンパスを刺しますが、ちひろは彼に弁当を与え、以前にも刺されたことがあると話しました。

その後、弁当屋を訪れたオカジは、盗撮がちひろにバレていたことを知ります。オカジが自分の名前も盗撮の理由も聞かないちひろになぜ聞かないのかと尋ねると、彼女は風俗嬢だった自分は相手の素性を知らなくても気にしないと答えました。

あるときちひろは、建物の間の小道で「師匠」が亡くなっているのを発見。その夜、彼女は森で穴を掘り、彼を埋葬しました。

バジルとともに夏祭りに出かけたちひろは、金魚すくいの屋台の男性が、自分が働いていた風俗店の店長・内海であることに気がつきます。彼は離婚し、熱帯魚店をはじめたとのことでした。

オカジとマコトはケンカしながらも姉弟のようになっていきます。オカジがちひろに家族との窮屈な食事が苦手と打ち明けると、彼女は家族であっても合わない場合はあると言い、オカジに「宝の地図」を渡しました。

弟の圭介から電話で母の死を知らされたちひろは、葬式に出るつもりはないと言って電話を切ります。その後、マコトの母・ヒトミが弁当屋に怒鳴り込んできました。ちひろが彼に弁当をあげることで、親である自分が子どもにまともに食事もさせていないと思われると怒ります。ちひろは軽率だったと謝りました。

ちひろにもらった地図を頼りに廃屋にたどり着いたオカジは、べっちんと知り合います。彼女は不登校でしたが、オカジが同じ学校の同学年と知り、学校に来るようになりました。

ちひろは本名の綾を名乗って、入院中の弁当屋の店長の妻・多恵の見舞いに通っていました。彼女は事故で視力を失っています。

ちひろは、幼少期に出会った「ちひろ」と名乗る風俗嬢のことを思い出します。家庭に問題があった彼女は、「ちひろ」に助けられていたのです。

帰りに立ち寄ったラーメン屋で、店員に因縁をつけている客を見かけたちひろ。そこへ弁当屋の常連客・谷口が割って入り、客を追い出します。食後、2人で公園でビールを飲んでいると、谷口は過去に暴力をふるう父親をバットで殴り、そのまま家でしたことを告白しました。

ちひろは「自分が死ぬことを考えるくらいなら、父親を殺せばいい」と言います。そのまま彼を自宅に誘い、セックスします。

そんなある日、ヒトミが誕生日にマコトにもらった花束を手に再び怒鳴り込んできました。マコトが自分でプレゼントを思いつくはずがない、ちひろの入れ知恵だと怒るヒトミに、ちひろは毅然とした態度でその花束を捨てれば、ヒトミは一生後悔すると言います。

しばらくして、内海に誘われ「ちひろ」の墓参りに行ったちひろは、自分を信頼しても体を求めてこない彼は「お父さん」だと言います。しかし翌日、内海に思いを寄せるバジルがちひろのもとを訪れ、2人きりで出かけたことを責めます。彼女は男女の間に恋愛以外の親密な関係はないと言うのでした。

その後、内海に誘われ2人で飲みに行ったバジルは、ちひろの過去の話を聞かされます。彼女が風俗の面接に現れた日、就活スーツを着たちひろはボロボロの靴を履いていて、ここで雇わなければ死んでしまうのではと思ったと内海は語ります。

ある大雨の夜、マコトが鍵をなくして家に入れなくなったことを知ったオカジは、おにぎりを作って彼と一緒にヒトミの帰りを待ちました。

帰宅したヒトミはオカジを家に上げると、彼女にマコトの好物の焼きそばを振る舞います。家でいつも手の混んだ料理を食べているはずのオカジでしたが、それを食べて涙を流しました。

一方ちひろは、退院間近となった多恵を病院から連れ出します。多恵は「綾」の正体が弁当屋の「ちひろ」であることに気づいていました。ちひろはまだ多恵が弁当屋で働いていたころ、客として初めて彼女と話し、強く惹かれたことを話します。

自分の母親が死んでもなにも感じないほど家庭が破綻していたちひろは、多恵が母親だったらどんなによかったろうと言います。しかし多恵は、自分が母親だったら今のちひろはいないろう、今のちひろが好きだと言い彼女を抱きしめました。

多恵が退院し、ちひろはマコトやオカジ、べっちん、バジル、内海らを誘ってパーティを開きます。それぞれの話が盛り上がるなか、ちひろはそっと姿を消しました。

そこへ多恵から電話があり、彼女はちひろが間もなくこの町を去ってしまうのではと感じていると言います。そして「あなたはどこでも孤独を大切にすることができる」と引き止めました。

数ヶ月後、多恵たち夫婦は弁当の下ごしらえをしながら、ちひろを懐かしみます。一方、酪農場で働くちひろは雇い主から前職はなにかと訪ねられ「ただの弁当屋です」と答えるのでした。