綾瀬はるか 映画「リボルバー・リリー」伝説の女スパイ・小曾根百合を演じる!

綾瀬はるかの映画「リボルバー・リリー」です。

1924年(大正13年)、東京は関東大震災から1年が過ぎようとしていました。

復興に向かう東京の墨田区にある歓楽街・玉の井。
その一角にあるカフェ「ランブル」のオーナー・小曾根百合は、旧知の人物・筒井国松が犯したとされる細見一家殺人事件が気にかかり、現場である秩父に向かいます。

国松の住まいである小屋には銃撃の痕があり、陸軍の軍人たちが調べていました。
何か腑に落ちないものを感じて帰路についた百合は帰りの列車の中で、軍人に追われている少年をみかけて彼を助けました。

少年の名は細見慎太。
彼は国松が犯人とされた殺人事件の生き残りであり、陸軍の軍人たちが躍起になって捜索をしていた人物でした。

一家殺人事件の当日、細見家には突然軍人たちが訪れ、父である細見欣也の行方を尋ねてきました。
家族がみな知らないと言うと、「殺れ」の一言で家族や使用人が殺されてしまいました。
そして慎太はただ一人、縁の下に隠れ難を逃れます。

口数の少ない慎太から少しずつこれまでの話を聞き出した百合。
慎太が何かを父・細見欣也から預かって「玉の井の小曾根百合の元へ行け」と言われたことを知ります。

それ以上のことは何も知らない慎太を、冷酷な陸軍はどこまでも追ってきます。
百合は愛銃であるS&W M1917リボルバーで陸軍の軍人を返り討ちにします。
その射撃の腕前はわざと急所を外して追っ手たちを仕留め切るほどでした。

只者ではない女、小曽根百合。
彼女こそ、かつて台湾で特殊な戦闘能力を持ったスパイを養成する「幣原機関」で訓練を受け、「幣原機関の最高傑作」とまで称された諜報員でした。

なんとか「ランブル」に辿り着いた百合と慎太。
玉の井に出入りする腕利き弁護士・岩見良明が慎太に関する事件の調査を始めたところ、彼の父・欣也は軍が保持する重要な国家機密に関わっていたことがわかりました。

特殊な投資の仕方で陸軍の軍資金の一部を自分名義の口座に振り込み、外国の銀行へ預けていた欣也。
しかもその銀行とは1年おきに更新が必要な特殊な契約を結ぶ必要があり、更新なされなかった場合は預金は銀行のものになるというものでした。

慎太が父から預かっていたのは、口座と金額が明記された書類でした。
彼は書類を大事に腹に巻き付けていたのですが、「ランブル」に到着する寸前、百合の後輩にあたる元諜報員・南始に奪われてしまいました。

ですが、書類だけでは預金はおろせません。
預金をおろすには、慎太の指紋と暗証番号が必要だとわかりました。
また暗証番号を解くための暗号文も、慎太が書類を腹に巻き付けていた布に描かれていました。

細見家が陸軍に襲われた時、床下に隠れて生き延びた慎太は、近くに住んでいた父の友人・国松の小屋へ行って助けを求めました。
そこへ外国へ行ったはずの父が戻ってきて「道が全て封鎖されている」と告げました。

父は慎太に書類を預け、小曾根百合を訪ねるように言います。
そして慎太が逃げた後に小屋は陸軍に包囲されてしまい、刃向かった国松は殺され、父・欣也も自害を選びました。
その事実を知らない慎太ですが、自分が独りになったことは悟っていました。

岩見は今は弁護士ですが、元海軍出身で暗号解読の知識を身に付けていたことから、布に書かれていた暗号文もなんとか解きました。

暗号文は、ある寺の住所を指し示していました。
そこに暗証番号が隠されているのに違いありません。
百合と慎太はその寺へ行くことにしました。

銀行の契約更新日まで、あと10日。
莫大な資金が消えてしまうかもしれない危機感から、陸軍は躍起になって慎太を探し続けていました。

小曾根百合は幣原機関にいた時、その長である水野寛蔵と恋愛関係にありました。
また水野家には彼に仕える国松と、現在は「ランブル」で働く奈加もいました。

やがて百合と水野の間には赤ん坊も生まれましたが、組織内での派閥争いによって赤ん坊は命を落としました。
そして傷心の百合は「もう人殺しはしたくない」とスパイをやめ、日本へ帰国したのです。

殺し合いはもう御免と思う百合と岩見は、陸軍と海軍の仲の悪さを利用して、海軍に助けを求めることにします。

百合は慎太を連れて寺へ急ぎ、一方の岩見は海軍の山本五十六のもとへ行こうとしました。
しかしその途中で岩見は複数の男たちに囲まれ、拉致されてしまいます。

岩見が連行されたのは、内務省の植村のもとでした。
植村はこれ以上国家機密に立ち入るなと忠告しながら、百合の過去についても触れます。

また百合の帰国後、同じくスパイ組織をやめ平和的に国家へ貢献しようとした水野も病死したと告げます。
実は細見欣也こそが、日本へ帰国したのちに投資家となった水野だったのです。

その頃、寺へと辿り着いた百合と慎太。
身分を証明するものを求められた慎太は隠し持っていた家族写真を出しますが、それを垣間見た百合は、顔を知らずにいた細見欣也が水野であったことに初めて気づきました。

寺で見せられた慎太の母の遺骨箱の中に、銀行口座の暗証番号が隠されていました。
植村のもとを逃げ出した岩見とうまく合流できた百合ですが、岩見に「慎太の父の秘密を知っていたのね」と尋ねます。

「なぜ、あの人は私にあの子を託したの」涙ながらに訴える百合を、「この国の未来を背負ったあの子を守れるのは、あなたしかいないと思っていたのでしょう」と岩見は優しく諭します。

そして山本五十六のもとへ、慎太の保護を頼みにいきました。

相変わらず追ってくる陸軍の追跡を逃れながら、百合と慎太は約束の時間に山本五十六へ電話をかけて交渉します。
「銀行預金の全額を海軍が得る」と「慎太の身柄を保護する」を交換条件に、日比谷の海軍省まで来るようにと指示されました。

陸軍が包囲網を固める中、一切の警護もなしで自力で海軍省まで来い。
また慎太だけは保護するが、百合を保護する気はない、あまりに非情な要求に、山本五十六の電話に立ち会っていた岩見は抗議しますが、きいてくれません。

一方、百合と慎太は海軍省へ出向く決意を固めました。
行きつけの滝田洋装店で新品の白いドレスに着替えた百合。
「あとで春風堂のマロングラッセを食べましょう」と慎太と約束をして出陣します。

百合が海軍省へ電話をかけたことから、陸軍にその動向を嗅ぎつけられてしまい、町のあちこちに陸軍の追っ手が駆けつけていました。
百合は拳銃を手に銃撃戦を繰り広げながら、慎太とともに日比谷をめざします。

激しい戦いで百合の真っ白なドレスは真っ赤に染まりますが、それでも百合と慎太は走りました。
目指す海軍省の門の前には、1000人近い陸軍勢がバリケードを作り待ち構えていました。

目の前に見えているのに、なんて遠い海軍省。
ですが、百合は諦めません。
百合と慎太の背後からは、カフェ「ランブル」の仲間たちが援護射撃をしてくれています。
山本五十六から拳銃を借りた岩見も駆けつけてくれました。

あちこちを撃たれながらも、百合は慎太に「援護射撃をするからまっすぐ海軍省に走りなさい」と言いました。
「あなたは生きなさい」という百合の言葉に背を押され、慎太はなんとか海軍省の門に辿り着きました。

そこには山本五十六をはじめ、海軍の軍人たちが居並んでいました。
「帝国海軍に向かって帝国陸軍が発砲するのか」と山本五十六に一喝されて陸軍は撤退し、慎太はそのまま彼に保護されました。

それからしばらく経って、慎太は外国へ留学することになりました。
慎太に別れを告げに百合がやってきました。

礼を言う慎太を押しとどめ、百合が差し出したのは春風堂のマロングラッセ。
二人でお菓子を食べながら、慎太は「理想の日本にするのを待っててほしい」と百合に伝えました。

場面は変わって、列車の中。

装った百合と岩見が向かい合わせて座っています。
百合は相変わらず美しく、凛とした表情で何か考えているようです。
岩見は常日頃感じている自分の気持ちを話そうとしましたが、百合に止められます。

百合は「来た」と顔を近づけて、岩見の耳元でささやきます。
同時に隣の客車のドアが開き、片目に眼帯をした謎の男が拳銃を手に入ってきました。

素早くバッグから拳銃を取り出し、百合は応戦します。