北川景子 映画「瞬 またたき」!

北川景子 の映画「瞬 またたき」です。

森の中を走る一台のバス。
そのバスから一人の女性・園田泉美が降りてきました。
泉美は自然豊かな森の中にある小さな診療所の精神科医・小木啓介のカウンセリングを受けています。

彼女は2ヶ月前に交通事故に遭い、その時の記憶がまったくありません。
体の傷は癒えたものの、心に深い傷を負った泉美は、毎晩のように悪夢にうなされていました。

夢の内容はいつも同じで、暗いトンネルの中を泉美がさまよい歩き、恋人の河野淳一の名を呼び続けるものです。
事故当時の記憶を取り戻したい泉美ですが、小木は、無理に思い出す必要は無いと話します。

診療所を出た泉美は、治っているはずの左足を引きずりながら歩きます。
足に痛みもなく、すっかり治っているにもかかわらず、気がつくと引きずって歩いてしまう泉美。
河川敷を歩いている時、ふと淳一のことを思い出しました。

美術大に通っていた淳一は、絵を描くのが好きで、この年の夏に彼の故郷である島根県・出雲へ一緒に帰省しようと誘われていました。
しかしその約束が、もう叶うことはありません。

父親の登と兄・ツカサの三人で暮らしている泉美。
母親は亡くなっており、実家は小さな自動車整備工場を営んでいます。
父親も兄のツカサも泉美のことを深く心配しており、そんな二人を心配させまいと泉美は気丈に振舞いますが、表情は依然として憂鬱なままです。
一方泉美の叔母であり、泉美が働く花屋を経営する堀川早紀も、何かと彼女のことを気遣います。

初めて淳一と出会った日のことを思い出します。
客の注文である薔薇を配達していた泉美は、淳一が壁に描いていた絵に見とれてしまい、足元のコードに気がつかずこけてしまいました。
そのせいで淳一は脚立から落ちて、せっかく描いた壁の絵にペンキがはねてしまいます。

こうして出会った二人は、順調に交際を重ねて、楽しい日々を過ごしていました。
淳一が運転するバイクで事故に会うまでは。

周囲のサポートを受けながら、何とか以前と変わらぬ生活に戻ろうと心がけていた泉美。
ある日薔薇のトゲで手を切ってしまい、血を見た瞬間に事故の記憶が少し蘇り、泉美は気を失ってしまいます。
泉美は病院へと運ばれ、翌日精密検査を受けることになりました。

見舞いに来た兄のツカサに、思い切って淳一の葬式の話を聞く泉美。
葬儀に参列したのは淳一の母親と登、ツカサ、早紀の三人だけでした。
一人息子を亡くしたため、淳一の母親はたいそう落ち込んでいたと言います。

その話を聞いた泉美は、どうして自分だけが助かったのか気になり、事故のことを思い出したいと強く思います。

精密検査の結果、異常がなかった泉美は再び診療所へ向かいます。
どうしても事故当時を思い出したいと話す泉美に、小木は以前と同じことを言ってなだめました。

その帰り道、同じ診療所に通院している弁護士・桐野真希子と知り合った泉美は、彼女が所属する法律事務所を訪れ、なぜあの事故で自分だけが生き残ったのか、事件の真相を探ってほしいと頼むことにしました。

しかし専門外として断られてしまいます。
それでも諦めきれない泉美は、彼女が仕事を終えるのを事務所の近くでずっと待つことにしました。

桐野は、両親と妹・涼子との四人で暮らしていました。
しかし桐野が高校生になると父が酒乱となり、母親に暴力をふるうようになります。
涼子は桐野に父親の暴力を止めてほしいと頼みますが、桐野は怖くて何もできませんでした。

すると涼子が母親をかばって、顔に一生消えない傷を負ってしまいます。
そのことを機に、病んでしまった桐野。
あの時自分が父親を止めていれば、妹は一生消えない傷を背負わなくてよかったのだと自分を責め続けています。

実家にしばらく帰っていない桐野は、涼子と泉美の姿が重なって見えていました。
そんなこともあり、桐野は泉美から話だけでも聞くことにします。
泉美が覚えているのは、淳一と一緒にバイクでトンネルを走っていたこと。
そして突然大きなトラックが現れたことぐらいです。
その後の記憶がなく、どうしても事故後の記憶を取り戻したい泉美。
周りに反対されても、泉美は思い出したいと願います。

その話を聞いた桐野は、依頼を受けるかどうかを考えさせてほしいと告げ、その日は泉美と別れることにします。

後日桐野から正式に依頼を受けることにしたと言われた泉美は、事故当時に治療に当たった医師から話を聞くことにします。
次に、事故当時を知る警察官に当時の状況を聞き取る泉美と桐野。
真正面からバイクはトラックにぶつかっていること。

通報までに10分間もかかったことや、パトカーが到着した時にはまだ救急車は到着しておらず、事故現場は悲惨な状況だったことがわかりました。

夜も眠れない泉美は診療所でもらった薬を飲み、事故でボロボロになった携帯に残されたメッセージを聞きます。
そこには淳一からの声が残されており、泉美は切なくなるのでした。

淳一の背骨は前に折れていたことがわかり、このことを不審に思う桐野。
彼女は事故現場を訪れ写真に収め、その写真と事故当時の写真とを比べて泉美に見せます。
すると少しずつ記憶を取り戻していった泉美は絶えきれなくなり、泣き出してしまいます。

その後しばらくは桐野と会わなかった泉美ですが、診療所で偶然再会。
泉美のことが気になっていた桐野は大丈夫かと声を掛け、お茶を飲みながら二人で話をすることにしました。

その中で、泉美は桐野の過去を知ることになります。妹に負い目を感じている桐野は涼子に会いたい気持ちはありますが、なかなか実家に足が向きません。
そんな桐野の気持ちを伝えるために、泉美は涼子に会いに行くことにしました。
泉美が桐野の気持ちを涼子に告げると、彼女も姉と同じ気持ちでいることがわかり、泉美はそのことを急いで桐野に伝えるのでした。

そんな時、淳一の母親から手紙とハンカチが送られてきます。
事故当時、泉美が淳一の傷ついた体を手当てした時のハンカチは血で真っ赤に染まっており、洗っても洗っても血の跡はとれなかったと手紙にありました。
それは事故直後、泉美に意識があった証拠です。

泉美は桐野と共に事故現場のトンネルへ向かうことにします。
桐野が運転する車に中で、淳一との思い出を語る泉美。
淳一が卒業制作に追われ必死だったある日、突然連絡が取れなくなったときがありました。

3か月も彼の行方が分からず不安だった泉美の前に、ある日突然淳一が現れます。
もう二度と彼とは離れないと決めたにもかからわず、亡くなってしまった淳一。
思い出だけでも失いたくない気持ちで泉美は必死です。

トンネルについた泉美は、全ての記憶を取り戻します。
2ヶ月前のあの日、一緒に桜を観に行った泉美は、淳一のバイクの後部座席に乗り帰路に着きます。

しかしトンネルの出口付近で、淳一のバイクは脇見運転をしていたトラックを避けきれずに正面衝突。
トラックの運転手は即死。
淳一は泉美を庇って、致命傷を負ったのです。
泉美は事故直後、淳一の切断された指を必死で拾い集め、淳一の流血の手当てをします。
しかし血は止まらず、やがて泉美は気を失ってしまったのでした。

全てを思い出した泉美は、淳一の母・沙恵子がいる島根を訪れます。
沙恵子は「淳一を愛してくれてありがとう」と、泉美に話します。

その後、公園で空を見上げていた泉美に、一人の老婦人が近づきます。
彼女は戦争で夫を亡くした過去がありました。
この世とあの世の境とされる伊賦夜坂の話を聞いた泉美は、伊賦夜坂へ向かいます。
そこで泉美は、「淳ちゃん、私は生きている。さよなら…」と呟きます。
そして映画はエンディングを向かえます。