多部未華子 舞台 キレイ!

2019年8月15日

多部未華子主演の舞台”キレイ”です。

Bunkamura25周年、シアターコクーンのラストを飾る公演です。
松尾スズキ演出の伝説のミュージカル、
2000年初演、2005年再演、今回3度目の再々演となります。

多部未華子をはじめとして、
松雪泰子、阿部サダヲ、小池徹平、尾美としのり、田畑智子、田辺誠一
といった豪華なメンバが出演しています。

ただ、凡人には理解の難しい不思議な内容の舞台でした。
三つの国に分かれて100年もの間、
民族紛争を続けている“もう一つの日本”での話です。

最初はハチャメチャな展開でとまどいましたが、
次第に引き込まれていきます。
久々にこれぞ演劇というものを鑑賞することができました。

ステージ中央にはマリア像が並びます。
舞台は、多部未華子と松雪泰子の歌から始まります。
二人とも声が通り、期待していた以上の歌声です。

多部未華子はジャケットにオーバーオールのジーンズ、可愛いです。
松雪泰子はしっとりとした青のロングドレス、
大人の女性の美しさが際立ちます。

多部未華子はケガレという女性を演じます。
民族解放軍を名乗るグループに誘拐されて
地下室に閉じ込められる役です。

そして松雪泰子はケガレの未来、
ミソギを演じます。

ケガレは記憶をなくし、
10年ぶりに地下室から地上に逃げてきます。

そこで、カネコ組の面々と知り合います。

カネコキネコという母親、
その子供のジュッテンとハリコナ、
生命力あふれる一家です。

彼らは、ダイズ兵の死体回収で生計をたてています。
ダイズ兵とは、ダイズから作られた兵士、
非常時には食料にもなります。

なかなか思いつかない発想です。
ダイズ兵を作っている巨大企業がダイダイ食品、
その社長令嬢がカスミです。

自らを表裏のある偽善者と言う割り切った性格ですが、
なぜかケガレとは仲良くなります。

ケガレはカスミにパーティーに招待されます。
ここで、ケガレの生着替えというサービスシーンがあります。

舞台上で服を脱ぎ、白い下着姿になり、
赤いドレスをまといます。

そのドレスを着てパーティーでダンスを踊ります。
楽しそうです。

一方、ケガレとハリコナも親密になります。

ハリコナは脳血栓の影響で知恵遅れになっています。
ただ、念力で花を咲かせる能力があります。
ケガレにその花を見せてあげます。
感激するケガレです。

ハリコナはケガレに結婚を申し込みます。
いいよ、ケガレは優しく答えます。
ところが、ハリコナに召集令状が届きます。
戦場に向かうハリコナです。

戦場には、阿部サダヲ演じるダイズ丸が戦っています。
このダイズ丸というのが、
ある科学者の思い付きで作られた特殊なダイズ兵です。

感情と生殖機能を持つ唯一のダイズ兵という設定です。
ダイズ丸は自分だけが違うことに嫌悪し、
死のうとしますが、
危ない戦場に行ってもダイズ丸だけが生き残ります。

そんななか、
ハリコナとダイズ丸とが同じ部隊の所属となります。
戦いのなかでハリコナは頭に銃弾を受けてしまいます。

死の淵をさまよいますが、
回復して頭脳明晰、IQ160と、ひとが変わります。

けれどゲイになってしまった、というオチです。

ハリコナを助けに来たカネコ組ですが、
銃撃戦のなかで、ケガレが撃たれてしまいます。

そして5年間意識をなくして眠り続けます。
その間、看病してくれたのがダイズ丸です。
突然目覚めるケガレですが、
寝言でなんどもつぶやいた
ミソギという名前に変えることになります。

ここからは松雪泰子が演じます。
ミソギはゲイになったハリコナと結婚式を挙げることになります。
白いウェディングドレスで歌い踊ります。
とても美しい姿です。

結婚式でダイズ丸が自分の子供を産んでほしいと懇願します。
二人は暗闇に消えます。
まもなくしてミソギの妊娠がわかります。
かわいい女の子を出産します。

ミソギは生活のためダンスショーに出演します。
ダンスの衣装がセクシーです。

化け物化したダイズ丸もショーに出ます。
生き恥さらすのが生きること、
開き直ったダイズ丸が歌います。

ミソギは、内なる声に導かれ、
監禁されていた地下室に向かいます。

そして忘れたはずの忌まわしい過去と対決してゆきます。
それは監禁され、犯され、それを楽しんだ過去。
ひょっとすると、
地上の出来事すべてが夢だったのかもしれません。

さて、宇宙旅行に旅たつハリコナですが、
宇宙服のなかにスズメバチが潜ります。
宇宙に出た後、
ハチに刺され、元の知恵遅れに戻ってしまう、
そんなマニアックな演出も笑えました。

ラスト、ケガレの歌で終わります。
しっとりとした歌声が感動を誘います。

そして可愛いダンスを見せてくれます。
最後に出演者が登場し終演となります。
拍手がなりやみません。
久しぶりに圧倒された舞台でした。