長澤まさみ 舞台「神の子」!

2024年2月18日

長澤まさみの舞台「神の子」です。

下北沢・本田劇場での公演です。
田中哲司、大森南朋、赤堀雅秋の3人が4年ぶりに舞台共演。
ヒロインに長澤まさみを迎え、でんでん、江口のりこ、石橋静河ら豪華俳優陣が集結した話題のステージです。

時にぶざまな、時に滑稽な、ダメでありながらも愛すべき人間たちのリアルな姿を描き出し、独特なユーモアを交えながら観客を不思議な空間へと誘う、そんな独特な切り口で舞台は進んでいきます。

物語の舞台となるのは、いつも私たちの身近にある街中の、ごくありきたりな風景です。

路上で警備員として働く独身で貧乏な3人の男たち、池田守、五十嵐健、土井春彦。
3人はいつもそろってなじみのスナックに行き、日曜にはパチンコに通うという日々を過ごしていました。

目的も展望もない生活にウンザリしつつも、漠然とした不安の中で過ごしています。
借金はかさむいっぽうで、煙草を吸うかどうかに葛藤しています。

そんなある日、池田は田畑美咲、斎藤真理子という若くてきれいな2人の女性と出会います。
そして、単調だった池田の日常は少しずつ変容していきます。
自ら他者に、ひいては物語(=人生)に、積極的に関わろうとしていきます。

長澤まさみが田畑美咲を演じます。
彼女たちの誘いを受け、池田は街頭でのゴミ拾いボランティアに参加することになります。
池田は、田畑との出会いにほのかな恋心を抱きます。

田畑は、終始人形のような笑顔で人間味といったものを欠いています。
彼女の発する言葉は優しいが、どこか機械的です。

彼女は斎藤たちとともにゴミ拾いのボランティアに精を出していますが、その行為を善的なものと信じてやみません。

むろん、社会奉仕は素晴らしいことですが、彼女たちの場合はそれが目的化してしまっています。
池田と田畑は生きる世界のまったく違う人間ですが、どちらも生きづらそうです。

ボランティアの仲間でキャンプに行くことになります。
そこで田畑も心に深い傷を持っていることがわかります。
だんだんと本音が現れてきます。
そして表情豊かな演技が観客を引き込んでいきます。

どこかほんのりとしたウェットに富んだセリフが続きますが、心が洗われるような素敵なステージでした。

そしてまたいつもの日常が始まり、舞台は終わります。